そもそも知育とは?
「知育」とは、子どもが自ら予測を立てながら課題を解決したり得た知識を活用したりする力を伸ばすための教育を指します。
成長が著しい幼児・児童期に知育を取り入れることで、子どもが自発的に考えられるようになり、将来にわたって役立つスキルを身に付けさせることができるのです。
知育玩具とおもちゃの違い
知育玩具とおもちゃは、そもそも目的が違います。
知育玩具は子どもの発達を促進するために設計されている一方で、おもちゃは単に子どもが遊ぶ道具として作られています。
例えば積み木の場合、指先の器用さや思考力、バランス感覚を養うことができます。
知育玩具にはそれぞれテーマがあり形状や養う力が違いますが、どれも子どもが遊びながら能力を高められる工夫が凝らされているのです。
この知育道具の選び方はいくつかありますが、今回はその中でも主要な「発達別」と「年齢別」を紹介します。
【発達別】伸ばしたい能力や目的から選ぶ
知育玩具を選ぶときは伸ばしたい能力や目的から選ぶと良いでしょう。
ここでは具体的に知育玩具で伸ばせる6つの力とその特徴を解説します。
1:集中力を伸ばす
集中力を伸ばす知育玩具は、遊びを通じてハラハラドキドキ感を感じられるという特徴があります。
例えば「ジェンガ」や「絵合わせかるた」などは、子ども自身が「これを抜いたら崩れるかも」「先に見つけないと相手に負けるかも」と考えて集中して取り組みます。
幼少期から集中力を身に付けておくと、将来的に作業や勉強をするときの効率も上がり、余計なことを考えずに物事に取り組むことができる子どもに育ちます。
これは勉強はもちろんのこと、スポーツや習い事でも必要な能力です。
私たち人間の集中力の土台は、乳児期から7歳くらいまでの幼児期に養われるといわれています。
ぜひ幼児期から集中力を養える知育玩具を取り入れてみましょう。
2:考える力を伸ばす
考える力を伸ばす知育玩具には、子どもの「なぜだろう」「どうすれば上手くいくかな」という疑問を引き出す仕掛けがあります。
パズルや科学を使ったおもちゃなどがこれに当たります。
思考力はインターネットやAIが発達している現代でとても重要です。
従来から人が行っていた「考える必要がない作業」はどんどん機械に任されるようになり、人がやるべき仕事は「考える」という思考力に関わる仕事にシフトしていきます。
これからの未来を生きる子どもたちが適応するためには、幼少期から考える力を身に付けることがとても大切なのです。
3:手先の器用さを伸ばす
手先の器用さを伸ばす知育玩具には、組み立てる・並べる・つまむ、などの指先を使う特徴があり「ブロック」や「クレヨン」などがあります。
実は、手先が器用な子どもほど集中力や創造力が高い傾向にあると言われています。
手や指の神経は脳と密接に繋がっているため、指先を動かすことにより脳が刺激されて創造力が高くなり、スポーツや習い事にも役立つのです。
また、手順を考えて実行するための論理的思考力も高くなると言われています。
手先の器用さは感覚運動期といわれる0〜1歳ごろから備わり、少しずつ物を掴めるようになってきます。
子どもの発達段階に応じて知育玩具を取り入れることで、手先の器用さを身に付けていくことができるでしょう。
4:空間認知を伸ばす
空間認知とは、空間の中における物の位置や形状、大きさ、動きなどを正確に把握する能力です。
空間認知を伸ばす知育玩具は、図形を想像したり平面図から立体を作り上げるような特徴があります。
立体パズルや積み木なども空間認知を伸ばす知育玩具です。
空間認知を伸ばすことで、絵や図が上手に描けるようになるだけでなく、運動能力が高くなったり、危機回避が可能になったりします。
子どもたちは成長するにつれて幼稚園や学校など活動範囲を広げていきますが、その中では外部環境として電柱、自転車、車、他の歩行者など様々な危険にもさらされます。
空間認知を伸ばすことにより、物と自分の距離感をつかめるようになるため、事故に遭うリスクも減らすことができるのです。
5:想像力を伸ばす
想像力を伸ばす知育玩具には、自分の記憶や経験から得た知識を使いながら何かを表現するという特徴があります。
ごっこ遊びやルールのある積み木などは、まさに想像力を鍛える知育玩具です。
子どもが早いうちから想像力を身に付けることで、1つの問題に対して様々な仮説を想像できるようになります。
知育玩具を選ぶ際は、以下の発達段階に合わせて難易度を選ぶと良いです。
・2~3歳
主に「まね」が出来るようになり、見たものを真似て表現するようになります。・4~6歳
友達と共有して想像の世界を作れるようになります。
ごっこ遊びやルール内での表現ができます。・7~12歳
物理的な制約を超えて想像する能力が高まります。
最適な難易度を選ぶことで、想像力はもちろん課題解決の楽しさや自己表現する能力も高めることができるのです。
6:子ども自身の長所を伸ばす
我が子の長所を伸ばせる知育玩具を選ぶという方法もおすすめです。
毎日一番近くで見守っているからこそ気付く長所を、知育玩具を使ってさらに伸ばしてあげましょう。
例えば手先が器用な子には手芸キットなどがおすすめです。
子ども用の手芸キットは、年齢に応じてレベル分けがされており、安全性を考慮して針を使わない手芸キットもあります。
「手先が器用」という長所を伸ばしながら、1つの作品を作り上げる達成感や自信にも繋がっていきます。
子どもが課題を達成したり作品を作り上げた際には、必ずポジティブな声掛けをしてあげましょう。
【年齢別】0~6歳の対象年齢から選ぶ
次に、年齢別の知育玩具の選び方を紹介します。
子どもは年齢によって身体的な発達、社会的・心理的な発達が大きく異なります。
成長に個人差はあれど、その子に適したものを選ばなければ、せっかく用意した知育玩具も意味がないものになってしまいます。
ここでは年齢ごとの発達段階とおすすめの知育玩具を紹介していきます。
0歳:視覚と触覚を刺激して運動機能を伸ばす
この時期の子どもは、運動機能が目覚ましく成長します。
手指や足、身体を十分に動かし、機能の発達を促進していく必要があるので、ベビージムなどがおすすめです。
ベビージムには数種類のおもちゃがつるされていることが多く、赤ちゃんはそのおもちゃに触ろうと手を伸ばしたり、足を伸ばしたり身体を動かします。
結果的に手足を活発に動かすため、赤ちゃんの運動機能が発達する効果があります。
さらに、カラフルな色のベビージムを選ぶことで赤ちゃんの視覚を刺激し、それぞれ手触りが違うおもちゃを選ぶことで触覚を刺激することができます。
おもちゃを握ることによって指先の筋肉が発達する効果もあり、生後数か月で始まる「追視」も促進できるのです。
1歳:手先を使える安全な知育玩具を
この時期の子どもは、つまむ・めくるといった指先や手首の動きがスムーズになってきます。
そのため、お絵描きなどの手先の器用さを伸ばす知育玩具がおすすめです。1歳前後の子どもでも握りやすい形状になっていたり、万が一口に入っても安全なクレヨンなどもあります。
1歳前後の子どもは何でも触ったりなめたりして確認するようになるため、安全面も配慮して選びましょう。
2歳:自主性を尊重して難易度を調整
この時期の子どもは自我や好奇心が強くなり、運動機能や指先の機能の発達から行動範囲も広がっていきます。
「自分で何かをやりたい!」という思いが強くなってくる時期でもありますので「ブロック」や「パズル」などの知育玩具で興味を掻き立てることができます。
自分の好きなように形を作り上げるので想像力も身に付き、平面だけでなく立体の知育玩具にすることで空間認知の力も鍛えることができます。
すぐに飽きてしまう子には、少し工夫が必要になる程度に難易度に調整してあげると夢中になってくれる可能性があります。
3歳:ごっこ遊びで社会性を学ぶ
この時期の子どもは、脳や体の機能が急速に発達して日々できることが増えていきます。
また、自分と他者との区別がつくことで自我が形成され、自己主張が強くなる時期でもあります。
他者を意識し友達と関わりながら遊ぶようになるため「ごっこ遊び」などが好まれます。
大人の行動をまねして疑似体験をしたり、ルールやマナーといった社会性を覚えながら遊ぶことができるようになります。
大人が料理する様子を真似するおままごとなどもこの時期におすすめで、色とりどりの野菜や包丁、まな板が入っているセットなどが販売されています。
4歳:細かなものにも挑戦できる
この時期の子どもは運動能力や手先の器用さもアップするため、元気に跳びはねたり細かい作業に挑戦したりと、できることがどんどん増えていきます。
小さいビーズを並べて遊んだり、細かいパーツから作品を作ったりする知育玩具があります。
細かな作業をするため手先の器用さや集中力を鍛えることができ、カラフルなものは色彩感覚を養うこともできます。
4歳にもなると社会性も身につき多くのことを吸収できる時期なので、遊びながら能力を伸ばせる知育玩具はとてもおすすめです。
5歳:コミュニケーションやルールの中で遊ぶ
この時期の子どもは、仲間とコミュニケーションを取りながら遊びのルールや集団行動を覚えていきます。
そのため、コミュニケーション力・社会性を伸ばすような知育玩具を取り入れることがおすすめです。
例えば「カードゲーム」や「ボードゲーム」なども2人以上で遊べる知育玩具で、友達と相談しながら問題を解決したり、しっかり順番を守るなどの社会のルールを学ぶことができます。
他にも、戦略が必要なゲームでは考える力を養うことも可能です。
6歳:文字や言葉も使えるように
この時期の子どもは社会性が大きく成長します。
ひらがなを読むことにも興味を持ちはじめるため、これまで読み聞かせてもらっていた絵本を自分で読むようになる子どももいるでしょう。
言葉に興味をもちはじめた6歳の子どもには、文字が遊びに加わる知育玩具がおすすめです。
小さいころから色々な言葉や表現に触れることで、日本語の表現が広がり国語力も上がります。
協力しながら遊ぶものでは喧嘩が起こることもありますが、そんな時こそルールを守る練習をしたり話し合いを促したりすることで、社会のルールやコミュニケーション力を身に付けることもできるでしょう。
知育玩具が逆効果に!?遊ばせ方のNG例
ここまで知育玩具の選び方や効果を解説しましたが、せっかくの知育玩具も使い方によっては逆効果になる可能性があります。
ここでは知育玩具でしっかり子どもの能力を引き出すための方法や親の向き合い方などを解説します。
タイミングや道具を親主体で決めてしまう
知育玩具で遊ぶタイミングや道具を親主体で決めてしまうと、子どもの自主性が尊重されません。
0~6歳は「やってみたい!」という気持ちが芽生え始める時期でもあります。
その中で親が主体で知育玩具を決めてしまうと子どもの自主性が尊重されず、「考えを持ってもどうせ親が決めてしまう」と自分の考えをもたない子どもに育ってしまいます。
そうならないために、日ごろから子どもの様子を観察して、興味があるもの・得意なものから一緒に選んだり、様々な種類の知育玩具を準備した上で子どもに自分の意思で選択させたりする工夫が大切です。
うまく出来ない時に親が手伝ってしまう
知育玩具で遊んでいると、時には子どもがルールや何をすべきか理解できないことも出てくるでしょう。
そんなとき、正しい遊び方にこだわったり、できないからといって口を出したり手伝ったりしてはいけません。
ちょっとしたサポートや声掛けが必要なことはあっても、いつも手伝っていては子どもに知育玩具を与えた意味がなくなってしまいます。
たとえ正しい方法で遊んでいなくても、子どもなりに工夫しながら考えているため、他の能力がついている時もあります。
例えば、見本と同じものを作る積み木遊びのルールが理解できず、自分の好きなフォルムを作り上げていたとします。
確かにルール通りではないため狙っている効果は薄いかもしれませんが、自分の頭で考えて想像力を鍛えることができています。
見守る保護者は「最初はできなくて当たり前」という広い心をもち、焦らず見守ってあげることが大切です。
年齢や発達段階に合わせすぎてしまう
年齢や発達段階に合わせて知育玩具を選ぶことは大切です。
しかし「〇歳だからこれをするべきだ」というように年齢や発達段階に合わせすぎると、子どもの負担になったり成長を阻害する可能性もあります。
子どもの成長には平均的な部分はあれど、子どもの成長や発達のスピードには個人差があります。
年齢や発達段階に合わせすぎると、与えられた課題が簡単すぎて飽きてしまったり、逆に難しすぎてやる気がなくなってしまう可能性も。
目の前の子どもの実態を考え、ネットや本でみる発達段階はあくまで参考程度にわが子の発達段階や興味・関心にあった知育玩具を選ぶことが大切です。
まとめ
愛する我が子の将来のために幼少期から色々な体験をさせてあげたい親は多いはず。
知育玩具も、将来のために発達を促す方法の1つです。
伸ばしたい能力や発達段階などを考えた上で知育玩具を選べば、効果的に能力を伸ばすことができます。
まずは、わが子の実態を把握した上で、その子に合った知育玩具をいろいろ試してみましょう!